ともづなのブログ

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施設長日記「介護のほんとのこと」

director's diary

経営の視点に立った社会貢献②

2016.12.12 up

小倉昌男氏の残された著作は、福祉の在り方を考える上でよき指標となります。
・市場経済とは「神の見えざる手」(アダム・スミス)。
経済は収まるところに収まって需給関係の「ある望ましいところ」に落ち着く。
・市場経済の理
付加価値をどれだけ自分のところのモノやサービスにつけて、ライバルに差をつけ、お客さんを獲得するか、という活動の繰り返しで成り立っている。
いいもの、いいサービスが実現できれば、「柳の下のドジョウ」を狙って、必ずライバルが出現する。
・付加価値
私がヤマト運輸の経営者を行っていたころ、宅急便のライバルがたくさん出現しました。
そのたびに、私は社員たちに「いいじゃないの、ライバルが出たら喜びなさい。うちの良さをお客様に認めてもらうチャンスなんだから」と教えてきました。
もちろん、ただぼんやりしているだけではダメです。
ちゃんとライバルに差をつける手を講じる。
その「手」こそが、「付加価値」なのです。
・市場競争
あらゆるモノやサービスの水準を上げる。競争なきところに発展も進歩もありません。
たしかに売り手の立場に立ったら「競争はつらいね」となる。
でもそこで売り手同士が競争をやめたらそれは「談合」にすぎません。
・誰も手をつけていない市場
市場経済では基本的にデメリットがある市場です。
デメリットがあるからビジネスチャンスがある。
宅急便もそうやって生まれたサービスです。
・消費者の論理と売り手の論理
経営において売り手の論理は絶対に出してはいけない。
それはただの言い訳にすぎない。
そうした言い訳とは関係なく、結果として提供できるモノやサービスの水準で勝負が決まるのが市場経済。
・郵便も福祉も「買い手の立場になって考える」という発想に欠けていたから「お客さん不在」のサービスになってしまっていた。
皆さんはどう考えますか?

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経営の視点に立った社会貢献

2016.12.1 up

私の尊敬する経営者は「クロネコヤマト」の生みの親である小倉昌男氏です。
すでに故人となられて10年以上たちますが、数々の著書も残しておられ、未だに影響力の大きな方です。
晩年は福祉に目を向け、「障害者を本当に尊重するのなら、自分の稼ぎで暮らせるようにすべきだ。福祉関係者に「経営」を教えて、障害者の収入を増やせるようにする必要がある」という信念のもと、さまざまな活動を行いました。
そのクロネコヤマトは、昨年11月に全国54紙に意見広告「いい競争で、いいサービスを。」を掲載しました。小倉昌男氏の時代から常に国の郵政事業(現在は民営化されてますが)と戦い続けた同社らしい気概と気骨のある提言でした。
この構図は、現在の介護を取り巻く環境と酷似しています。
郵便も福祉も「買い手の立場になって考える」という発想に欠けていたから「お客さん不在」のサービスになってしまっていた。小倉昌男氏の述懐です。
本当の社会貢献とは何か?
世の中を変えていく信念とは何か?
サービスとは何か?
小倉昌男氏が教えてくれているような気がします。

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社会保障制度の役割とは

2016.11.23 up

資本主義経済の社会のもと、私たちは1人ひとりが自らの責任と努力によって生活を営んでいますが、病気やけが、老齢や障害、失業などにより、自分の努力だけでは解決できず、自立した生活を維持できなくなる場合も生じます。
このように個人の責任や努力だけでは対応できないリスクに対して、相互に連帯して支え合い、それでもなお困窮する場合には必要な生活保障を行うのが、社会保障制度の役割です。
現在の老人介護を取り巻く環境は、この「社会保障制度」の枠組みの中での視点と、サービスとしての市場競争の視点が混在し、対等な競争条件を成しえていないといえます。
限られた財源の中で、闇雲に「社会福祉だから」と許されるものではありません。
皆が切磋琢磨して「いい競争、いいサービス」を行っていくためには、対等な競争環境が必要ではないでしょうか。

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伝達の手段

2016.11.17 up

アメリカ大統領選で、大方の予想を覆してトランプ候補が当選しました。
彼の言動・手法は賛否両論あるでしょうが、「ヒトに伝えて行動させる」という観点からみると勉強になる部分もあります。
①誇張する
自分のイメージを100とした時、それを言葉にすると半分(50)、さらに相手がそれを理解するのが半分(25)、そして最終的にに相手が「理解」を「実行」に移せるのが半分(12.5)。 最後の数字を大きくしたければ誇張する(最初の数字を大きくする)のが効果的と言われます。そういえば、孫正義氏なども最初に大風呂敷を広げますし、前大阪府知事の橋元徹氏なども最初に広げて譲歩を引き出す方法が常套手段でした。
②はっきりしている
善かれあしかれ言動の明快な人物に人々は魅力を感じます。はっきりする、ということが、責任をとることの証明であると感じ取るからです。
③落差をつける
特に当選後は、トランプ氏への形容で「意外とまとも」「意外とやさしい」などと言われることがあります。これは「一見そうではなそうだけど実は」というものです。同じことをしていても落差がついたほうがより効果的です。
①~③はあくまで手段の一つです。
施設運営をしていても伝えることの難しさは日々痛感しています。

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イコールフッティング(競争条件平等化)②

2016.11.11 up

介護離職者や特養待機者問題、更には介護人材の不足などの問題を受け、今年の9月には公正取引委員会が介護分野の現状について調査・検討を行い、以下の内容の報告書をまとめました。
(1)多様な事業者の新規参入(2)公平な競争条件(3)事業者による創意工夫の発揮(4)利用者による適切な選択、の4つを柱とする提言です。
これを受け、医療法人や株式会社による特養参入の是非の議論が活発になっています。(自民党PTの会合では、株式会社が特養を運営できるようにするなどの規制緩和に、反対の意見が相次いでいるようです。)
問題の本質は、特養の運営主体の拡大の是非ではなく「福祉」と「市場原理」の混在です。それに受益者の「選択できる権利」が絡まっているのです。
ただ一つだけ言えるのは、どんなに美辞麗句を並べても健全な競争がなければ、「良いサービス」は絶対に生まれないということです。そして「良いサービスを選択したい」という気持ちは誰もが等しく思うことだということです。
福祉はいわば選択とは無関係で、競争にさらされることのない環境を指します。
そのことの是非が問われているのだと思います。

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イコールフッティング(競争条件平等化)

2016.11.5 up

近年、介護業界では、社会福祉法人と営利法人などとのイコールフッティングの問題がクローズアップされてきました。
イコールフッティングとは、商品やサービスを販売している事業者が対等の立場で競争が行えるよう、基盤や条件を同じにすることを言います。
社会福祉法人の内部留保に関する指摘から端を発し、この問題は、内閣府の規制改革会議でも「介護・保育分野においては経営主体間のイコールフッティングを確立すべき」と提言されました。
そのような論調を受けて、「社会福祉法人の在り方に関する検討会」が発足され、厚労省の審議会において2013年9月~2014年6月まで計12回にわたり議論され、2014年7月にその骨子が公表されました。
どのような議論がなされ、どのように是正されていくのか大変期待していましたが、その要旨は「情報公開の徹底」や「利益度外視の地域社会貢献事業」などといったこれまでもさんざん言われてきたこと・・・。
「既得権」と「岩盤規制」は日本社会の縮図のようです。

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現代の「黒船」

2016.10.30 up

先日、熊日新聞に「外国人技能実習と介護」のテーマの社説がありました。
「そもそもこの制度の目的は自国の経済発展であるのに、安い労働力の確保のための制度利用は目的とかい離しているし問題が多すぎる。それよりも人材不足の背景となっている介護分野の低賃金問題に向き合うため、介護保険にもっとお金を投入すべきだ」というような論調でした。
確かにその通りで、この制度には農業や製造業などの他分野での実績をみても問題が多すぎますが、外国人の人材そのものを否定するものではないはずです。
現代はグローバル化という黒船が押し寄せている時代です。抗っていても自国の産業が成り立たなくなっていくだけです。
受益者の立場から見るならば、言葉の壁は存在しますが、心根を持ったケアに取り組める人材ならば外国人だろうと日本人だろうと関係ありません。おいしくて安全が保障されたものであれば、どこ産のオレンジであっても受益者の立場であれば関係ないのと一緒です。
TPPしかり、外国人労働者しかり、要はそれが受益者にとって最良かどうかです。選択肢が増えることで健全な競争が生まれサービスが熟成されていく過程は、受益者にとっての「選べる」という環境の中でしか生じません。
胸に手を当てて考えたとき、私たち事業者が安くて質が良くて競争力のある食べ物やヒトを遠ざけているという実態はないだろうか?その視点は全体を俯瞰して「相手目線」であるだろうか?
介護分野に外国人が入ってくるとするならば、その待遇は政府の唱える「同一労働同一賃金」の考え方の範疇で行うべきものでしょう。

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マニュアルで仕事は「こなせる」か?

2016.10.24 up

用語の定義として「職務」は以下の2つにわかれるそうです。
①定型的職務
小売、外食など。誰もがマニュアルに従って対処できる、特に難しい判断の必要ない業務。
②非定形的職務
企画、対外的折衝、新規事業開発など。定型化されておらず、自分の判断や思考力を使って進める業務。
①であろうと②であろうと徹頭徹尾「相手を向いている」ことが仕事のはずです。そうであるならば、一切の心を伴わず、マニュアルだけで仕事は「こなせる」ものでしょうか?
介護のような目の前に相手がいるサービスであればなおさらです。
相手のほうを向いて仕事しているかどうか?
当たり前のことですが、常に肝に銘じています。

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永遠の命題

2016.10.18 up

ともづなは今年の12月で開設3年を迎えます。
18人のスタッフから始まり、現在はパートまで含めると50人を超えるスタッフが働いてくれています。
当初の1年間では約半数の職員が入れ替わりましたが、直近の1年間は週20時間以上の勤務者に限って言えば離職ゼロです。
離職率が低いことだけをもって「良い施設」というのはなにか違うと思いますが、それでも職員が定着するのは施設にとってはとてもいいことで、大事なことだと認識しています。
職員がイキイキと働ける環境が、良いサービスに直結するからです。
働きやすい環境とは?
良質なサービスとは?
私たちの永遠の命題です。

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不合理を乗り越える

2016.10.12 up

どんなに不景気でも、伸びている事業所はあります。
どんな業界にも伸びているところとそうでないところがあります。
その違いは、その業界に巣くう不合理を乗り越えたかどうかともいえます。
誰もがおかしいと思っていること、こうなればいいのにと感じていること。
受益者目線でみたときのそのような感覚を乗り越えれるかどうか。
イノベーションは和訳すると「新結合」というそうです。
やってることは決して特別なことではない。
これまであったものをつなぎ合わせて、不合理を乗り越えた新しい「価値」を作ること。
周りをみていると元気のいい事業所はそんな事業所だと思います。
私たちも日々、精進です。

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