小倉昌男氏の残された著作は、福祉の在り方を考える上でよき指標となります。
・市場経済とは「神の見えざる手」(アダム・スミス)。
経済は収まるところに収まって需給関係の「ある望ましいところ」に落ち着く。
・市場経済の理
付加価値をどれだけ自分のところのモノやサービスにつけて、ライバルに差をつけ、お客さんを獲得するか、という活動の繰り返しで成り立っている。
いいもの、いいサービスが実現できれば、「柳の下のドジョウ」を狙って、必ずライバルが出現する。
・付加価値
私がヤマト運輸の経営者を行っていたころ、宅急便のライバルがたくさん出現しました。
そのたびに、私は社員たちに「いいじゃないの、ライバルが出たら喜びなさい。うちの良さをお客様に認めてもらうチャンスなんだから」と教えてきました。
もちろん、ただぼんやりしているだけではダメです。
ちゃんとライバルに差をつける手を講じる。
その「手」こそが、「付加価値」なのです。
・市場競争
あらゆるモノやサービスの水準を上げる。競争なきところに発展も進歩もありません。
たしかに売り手の立場に立ったら「競争はつらいね」となる。
でもそこで売り手同士が競争をやめたらそれは「談合」にすぎません。
・誰も手をつけていない市場
市場経済では基本的にデメリットがある市場です。
デメリットがあるからビジネスチャンスがある。
宅急便もそうやって生まれたサービスです。
・消費者の論理と売り手の論理
経営において売り手の論理は絶対に出してはいけない。
それはただの言い訳にすぎない。
そうした言い訳とは関係なく、結果として提供できるモノやサービスの水準で勝負が決まるのが市場経済。
・郵便も福祉も「買い手の立場になって考える」という発想に欠けていたから「お客さん不在」のサービスになってしまっていた。
皆さんはどう考えますか?