ともづなのブログ

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施設長日記「介護のほんとのこと」

director's diary

働き方改革と権利意識改革

2018.8.11 up

東京医科大学の不正入試問題を契機に、女性(女性医師)の働き方が議論になっています。
働き方を改革するということは、端的にサービスを提供する時間を制限するということです。
もちろん、一人ではなくチームでそれを提供すればいいのですが、これからの世の中は「提供者」が圧倒的に不足する前提があるため、それも容易ではありません。
しかし、私たちはサービスの受け手の立場になったときは、相手の働き方改革を無視して、こちらの権利を主張してしまいがちになります。
先生は夜中でもいやな顔せず診てくれるのが当たり前。
宅急便は指定した時間に持ってきてくれるのが当たり前。
病院や介護施設は盆正月もいつも通りしてくれるのが当たり前 etc
当然ですがこれらの要望を満たすためには、そこに相当量の「貴重な労働力」を確保しなければなりません。
提供者側には、時代の前提に応じつつ、サービス水準を低下させないオペレーションの構築が求められます。
一方でサービスの受け手側にも、
①提供するサービスの価値を時間ではなく成果ではかること
②世の中の前提を理解し、譲歩できるところは譲歩するこころをもつこと
そのうえでサービスを取捨選択する審美眼を養うことが必要なのかも知れません。

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まじめな生き方

2018.7.29 up

「まじめに働く」とはどういうことでしょうか?
言われたことを言われたとおり、黙々とこなすこと。
もちろんそれも真面目でしょうし、それ自体が不真面目だとは思いません。
しかし「働く」ことはそもそも「誰かのために」することです。
だとするなら、最も大事なのはその「誰かのためにすること」に対して「責任をとる」ことなのかもしれません。
働き方は、生き方です。
ヒトは「誰かのため」にしか生きられませんし、自分以外の人間がいてはじめて「社会」が成り立つからです。
「自分のためにだけ料理を作る」という作業は、いずれ喜びや悲しみやもっと深いところでの意味を見いだせなくなるでしょう。
それはどんなに格差社会が問題になろうと、どんなに人手不足で売り手市場になろうと変わりません。
同じ生きるなら、「責任の重さ」と「働く喜び」を感じながら生きていきたいと思っています。

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プロのケアスタッフ

2018.7.9 up

常々、ともづなでは「特別なひとが特別なことをするのがリハビリではない」という話をします。
すなわち、高齢者ホームでは「専門的なこと」が行われるのではない。
ジェネラルな視点(生活の視点)であらゆることを捉えることが必要だということです。
(看護職が行う看護行為についても同じ考え方で同じ視点が必要です)
ともづなでは、全員が様々な資格を有したプロの「ケアスタッフ」であるという位置づけです。
disuse(廃用)を防止するために最も大切なことは日々のケアの中での介助法ですし、リスクマネージで最も大切なことも日々のケアと観察です。
時間の経過とともに低下していく機能レベルをいかに生活の中に溶け込ませていくか。
そのために、私たちができることは何なのか?
プロのケアスタッフに求められる重い命題です。

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ともづなの思い

2018.6.26 up

ご家族向けの案内に記載している内容です。
 
~ともづなは、ご家族の皆さんと協力して大切なお父さんやお母さんの生活を支える場所です。
私たちがどんなに頑張っても「ご家族の代わり」にはなれません。
私たちにできることは、専門性とエビデンス(根拠)に基づいた、日々の看護・介護、食事や入浴などの「生活支援サービス」です。
日々の生活を共にすることで、できる限り現在(いま)の状態を把握し、それを皆さんと共有します。
(中略)
自宅で介護できないことに対して、後ろめたい気持ちはどうか持たないでください。
ともづなでの生活は、「任せたり、任せられたり」するものではありません。
負担となる「日々の介護」は私たちが請け合いますが、ご家族の絆や役割は、なんら変わることはないからです。
人生の最後のステージを「ともづなでよかった」と言っていただけたなら、私たちにとってそれは望外の喜びです。~
 
ともづなは「収容所」ではなく、「生活を共にする場」です。
何もかも「お任せしてる」感は、サービスをする側も受ける側もあってはならないと思います。
ご家族をはじめとするステークホルダーの皆さんとのコミュニケーションの大切さを実感しています。
 

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「生を見守る」しごと

2018.6.11 up

あるサイトに掲載されたご家族の手記です。
~ 93歳で倒れた祖母。
以前から、本人が何度も「病院は嫌。薬も点滴も、何も無しで自然にゆきたい」と言っていた。
自宅介護になったのだけど、医者や看護婦やヘルパーの方々がとにかく治療しようとする。
点滴、鼻からの栄養、胃ろう、抗生物質や解熱剤、利尿剤……。
やんわり拒否すると、「なんかの宗教ですか?」とか
「治したいと思わないんですか?」とか、
まるでおかしいみたいに言われた。苦しかった。
あのね、93歳だよ、って。
多少、認知症もあって、本人も「もっと長く生きたい」なんて思ってなくて、
むしろ将来が不安で、「生きすぎた」って言ってたんだよ。
食べられるものは食べさせたり、お風呂に入れたり、
そういったケアは一生懸命やるけど、医療は無し、でいいじゃない。
経験からすると、相当、意思が強くないと、流されてしまうと思う。 ~
「救命」ではなく「生を見守る」のが私たちのしごとだと感じています。
家族以外のものがひとさまを「見守る」ために必要なものとは何か?
試行錯誤の毎日です。

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ケ・セラ・セラ ~ なるようになるさ

2018.5.29 up

ヒトは常に前を見て生きる生き物です。
見過ぎると心配になったり、不安に駆られたりします。
コドモの時は、オトナになったら先のことなど心配しなくなるものだと思ってましたが、
50歳の扉が見えてきた今でも、相変わらず先のことをあーでもないこーでもないと考えています。
某大臣の暴言で「いつまで生きるつもりだ」という発言がありましたが、ヒトはいつまででも「先のことを考える」愚かな生き物なのかもしれません。
認知症のお年寄りは、この「将来」という呪縛から解き放たれた方たちです。
そのことは、ある意味、神様からの「ギフト」ではないかとさえ思えることがあります。
後先考えない無鉄砲な生き方がいいわけではないですが、過度な心配や不安も、それこそ先の人生に影響を与えてしまいます。
ケ・セラ・セラ ~ なるようになるさ
認知症の方たちの「今」に寄り添える介護という仕事の尊さとありがたさを感じています。

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数字

2018.5.15 up

体温、脈拍、血圧、呼吸速度、SpO2(動脈血酸素飽和度)、糖尿病の方の血糖値 etc
ホーム職員は、入居者の様々な数字に一喜一憂しがちです。
私たちの勤務は1日8時間、月に概ね170時間です。
入居者の生活は1日24時間、月約720時間ずっと繋がっています。
「治療」を目的とした病院での連続したケアと、「生活」を目的としたともづなでのケアとでは、その意味合いが異なります。
①一緒にいること
②出来ないことを支援すること
③変化に気づくこと
の3点が職員の役割です。
直近の数字等にこだわり過ぎるよりも、まず、一緒にいること。
そして、いつもと違うことに気づくこと。
そのうえで、経過記録等を参照し、前後の状況を把握していくこと。
そのあたりが肝要だと感じています。

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それでも食べさせたい、それでも歩かせたい。

2018.5.2 up

施設運営にリスクはつきものです。
そもそも平均介護度3.8の方々は、食べることひとつ、排泄することひとつ、あらゆることにリスクがついて回ります。
なるべく安全を損なわない方法や環境を追い求めるのは事業者として当然ですが、しかし「絶対」はありません。
昨今は、施設内での事故に対して訴訟等も多くあると聞きます。
利用する側の権利意識が育ってきたことは、介護保険が育ってきたこととリンクしたことで悪いことではないと思います。
(福祉の時代には、利用する側は「お世話になってる」感覚が強いものでした)
しかし、同時に権利だけが肥大化していくことにも注意は払われなければならないと思います。
(でなければ、事業者は怖くて高齢者の方々をお預かりすることもできません)
「立ち上がって危ないから縛る」
「徘徊するから鍵をかける」
「誤嚥してあぶないから、口から食べさせない」etc
ともづなでは 旧来の福祉や老人医療が当たり前に行ってきたことに対するアンチテーゼを考え方の基軸にしています。
「事故を起こす可能性があるからクルマを運転しない」という考え方はやはり違うと思うからです。
「なるべく使うこと」と「それに伴うリスク」は表裏一体です。
施設での起こりうるリスクについて、ご家族をはじめとするステークホルダーの方々に、折を見てはお話しするよう心がけています。

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デレゲーション

2018.4.21 up

この世の中で最も難しいことは、「自分以外に人間に、自分が思うことと同等かそれ以上のことをしてもらうこと」だと思います。
相手がそれをこちらの目的を満たすようにしてくれるには、当然ですけど相手がそのことを理解して納得することが必要です。
管理職の立場にある人なら、これがどれほど難しいか身にしみていることと思います。
そんなめんどくさいことせずに、自分でやってしまった方がよほど楽なこともあります。
そもそも全てを一人で担うことは出来ないから「組織」であり「事業」なのです。
任せる側と任せられる側、互いの意思疎通と信頼関係、なによりなぜそのような権限移譲(デレゲーション)が必要なのか、そのあたりの文化の醸成が組織としての成熟のカギであることを痛感しています。

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あなたは誰と過ごしたいですか?

2018.4.4 up

ヒトは一人では生きていけません。
だから、誰かと一緒にいます。
親子、兄弟、恋人、夫婦、友人等々・・・。
例えば旅行は「どこに行くか」よりも「誰と行くか」の方が大切です。
「大好きなひと、一緒にいたいひと」と行けば、どこに行こうとも最良の満足が得られるからです。
介護の仕事の基本は「一緒にいること」です。
介護を「出来ないことを介助する仕事」と捉えていると相手の信頼は得られません。
入居者の皆さんも「大好きなひと、一緒にいて楽しいひと」と一緒にいたい気持ちは同じです。
私たちは、ご家族の代わりにはなれませんが、穏やかな時間を共有するために日々試行錯誤を重ねることが大切だと実感しています。

カテゴリー:介護のほんとのこと

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